小さな子育て仲間

食卓にある窓の外の花台に、今年もハクセキレイが子育て用の巣を作った。

ある日を境にピーチクパーチクとにぎやかになり、カーテンの脇から子ども達とそっとのぞいてみたら、6羽のヒナがまだ目も開かない状態で親の帰りを待っている。

親鳥は慎重にまわりの様子をうかがいながら巣に帰ってくるけれど、雛たちはそんなことなどおかまいなしに、ありったけの声で「エサちょうだい」と叫ぶ。

雛たちのそんな声や、毎日早朝から忙しそうな親鳥の様子を見ていると、新生児の体重の伸びが悪いとか夜寝ないとか心配したり、あるいはどうして泣いているのかわからなくなったり、やっぱり子育てに右往左往している自分たちの姿と重なってしまい、小さな子育て仲間ができた気分。がんばれ!とエールを送りたくなってしまう。

 日曜日の午後、ふと気付くと雛たちの声が消えていて、巣はからっぽになっていた。そうか、今日が巣立ちの日だったんだ。

人間の子は産まれて2ヶ月経ってもまだまだ座ることすらできないのに、鳥はたった2週間で飛べるようになるのは不思議だね…そんな話をしながら、子ども達に「巣立ち」という言葉を教えていたら、子ども達もこの家を去っていく日がいつか来るのかな…そんなことをふと思う。

そんな巣立ちの日まで、しっかりと子ども達を育てていきたい。
小さな子育て仲間と同じように。

--
北海道新聞の「朝の食卓」の前回掲載ぶんです。