母乳とミルク

私たち夫婦は、というより妻は、「子どもを母乳で育てたい」と考えている夫婦だ。

2005年5月のハルトの出産のあと、夫婦でいちばん頭を悩ませていたのは、なんといっても母乳不足感。

どうも母乳の出が悪い、とは入院中から指摘されていて、いつもミルクを足されていて、実際に体重の増え方も良くなかったし、
ハルトの体重は成長曲線のいちばん下限付近をウロウロ。

いつも「母乳が不足しているのでは?」と言われてとても気にしていた。

母乳にいいと言われるハーブティをいろいろ試して無理して飲んだり、おっぱいに悪いとされている食品は神経質に避けたり、
その他いろいろなことに気を遣い、それでもやっぱり足りない気がして、悩みつつ迷いつつも少しミルクを足したり、
ほ乳瓶やほ乳瓶の乳首を変えてみたり、なかなか悩み多き時代だった。

ところが第2子夏樹は、生後2日めと3日めは母乳が出ず、赤ちゃんの体重がガクンと減ってしまい、
妻は精神的にも不安定になってちょっと大変だったけど、でもそれもその2日間だけ。

4日以降は母乳はたっぷりでて、退院後はなんの心配もなく、夏樹の体重もグングン増えている。

見るからに母乳が入ってます!という感じだし、なにもしなくても母乳がでてきてしまい、かえってその母乳の処理に困るくらい。
おっぱい星人のハルトも嫌がるくらい、母乳の出はいい。

どっちも同じ人間なのに、いったいこの差はなんだろう?



そこで思い出すのが、病院の母乳に対する考え方の違い。

ハルトを産んだ病院は基本的には母乳をやりつつも、精密な体重計で母乳量を測定し、足りないぶんはミルクを足す…という進め方。
だからハルトは産まれた直後から母乳と一緒にミルクも飲んでいた。

一方で夏樹を産んだ病院は完全母乳主義で、ある意味スパルタ主義。赤ちゃんが栄養失調にならないよう監視しつつも、
基本的にはミルクは足さない…という進め方だ。



母乳については体質や個人差が大きくて、そして母乳とミルクについてはいろいろな考え方があるけれど、実は「母乳がでない人もいる」
というのは栄養状態が悪い昔の話で、実際に母乳が出ない人というのは極めて稀なケースらしい。そして母乳というのは「要求する量だけ出る」
ものだ、という話もある。

その他、いろいろな母乳とミルクについての情報を集めてみると、なんとなくひとつの答えがでてくる。

これはあくまでも想像であり、正しいかどうかはわからないけれど、妻の場合、
今考えるとハルトのときに母乳が不足している感じだったのは、最初からミルクを足していたからなのでは?

母乳が足りないからミルクを足していたつもりだったけれど、妻の場合、実はミルクを足していたから母乳が足りなくなっていたのでは…?
と疑っている。

そういえば「母乳が足りません」って言っていたのは栄養指導の栄養士だけど、彼女は乳業メーカーの社員だったし、
なんだかちょっと怪しい感じだ。

もちろんミルクを否定するつもりはなくて、母乳が良くてミルクはダメ、ということもない。

ミルクが役立つ場面があるのもわかるし、ケースバイケースで個人個人の考えによって選択すれば良いと思うののだけど、私たちのように
「どうしても母乳で育てたい」と思っている人間には、結果としてはハルトのときの病院の進め方は合っていなかったのかもしれない。



ハルトのときは入院中は楽だったけれど、退院してからが母乳に対する悩みが多くて大変だったし、その期間はとても長かった。

夏樹のときは入院中の2日間だけ母乳に対する悩みがあったけど、退院後は楽だ。

「次産むとしたら今回の病院だよね」

そんな話をしている私たち夫婦。

母乳とミルク、真実はいったいどこにあるのだろう。