生きている喜び

1歳9ヶ月になるハルトは、いつも元気に走り回っている。

いつだって嬉しそうで、いつだって楽しそうだ。

うまく言葉にはならないけど、不思議なリズムで歌うようなハルト語を発している。

暖かい日差しの差すリビングで「さあて、なにで遊ぼうかなあ?」といった様子でキョロキョロして、
なにか見つけるとタタタッと走っていく。

いつも、これからなにがあるのかなあ?とワクワクと目を輝かせて人の顔を見ている。

ぜんまいで走るクルマを追う姿のなんと楽しそうなこと。

「たかいたかい」をやってあげたときの満面の笑み。

犬のしっぽがフリフリと動いているのを見つめているときの楽しそうな顔。

左手を父さん、右手を母さんにつないでもらったときの嬉しそうなステップ。

ココロも身体も、すべてがフレッシュな1歳児は、いつだって気持ちは上向きで、いつだって嬉しい。

なんだかハルトはいつもちょこちょこ動き回っていて落ち着きが無くて…と思うこともあったけれど、でもそんなに嬉しそうで、
そんなに楽しそうなら、それでいいよ。

ただ単に長靴を履くだけなのに、足をバタバタと楽しそうにしているハルト。

ただスーバーで晩ご飯の買い物をしている父につきあって歩いているだけなのに、嬉しそうにジャンプしてみたり、
知らないおばさんの顔を見て微笑んだりしているハルト。

どうして彼はこんなにもいつも楽しそうなんだろう。

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日差しが暖かくなってきた午後、ハルトを連れて近くのスキー場わきの林に散歩に行く。

やわらかい小さな手をひいて、ザクッザクッと雪の野原を歩いていると、時間が進むのがとてもゆっくりだ。

流れていく雲を見たり、空を飛ぶ小さな飛行機を指さししているハルトに付き合って過ごしていると、こっちまで1歳児になったみたい。

ときどきふと立ち止まって、親の顔を見上げる。どうしたの?と聞くと、ニッと笑顔。

雪を触って、雪の付いた手をじっと見つめる。冷たい感触を確かめて、固い雪を足で踏みしめる。

風の音に耳を澄ませ、風が吹けば「ひっ」としかめっ面。

こうやって全身を使って、この世のいろいろなことを理解していく。

…ハルトよ、この世に生まれて本当に良かったな。

小さな息子にそんなふうに話しかけたら、そう、自分自身だってこの世に生まれて本当に良かった…そんなふうに思った。