半年間のたからもの

誰もいない静かなオフィスにひとり。
さしあたって仕事はなにもない。

派遣先の経営状態の変化などいくつか事情はあるものの、育児休暇をとったことで、結果的に5年半続いていた仕事が突然切れた。

それなのに「育休をとらなければ良かった」という気持ちにはまったくならない。

この半年間を振り返ると、やはり子どもの成長を子どもに一番近いところで確実に見られたことが最も幸せなことだった。
半年前、まだハイハイすらできない赤ん坊だったハルト。
はじめて手の力を使ってハイハイに成功したのを目撃したのも、はじめてつかまり立ちをしたのを見たのも、はじめてひとりで立つのを見たのも、全部自分。

はじめて親のマネをし、はじめて「ちょうだい」がわかるようになり、はじめて階段をのぼった。
泣いて途方に暮れたり、一緒に頭のねじがはずれるまで遊んだり。
一緒にたくさん笑って、たくさん喜んで、たくさん心配して、泣いて、イライラして、幸せだと感じて、また笑って。

これほど充実した時間って、いままであったのだろうか。

そして、妻と子と家族で過ごした時間。
たぶん半年間のすべての食事を家族全員で一緒に食べた。
やっぱりこの半年間は、本当に楽しくて幸せな半年間だった…ということができる。
それはとても充実していた、宝物のような大切な日々。


そんなことを考えると、やっぱり育休は取ってよかったし、もし「戻ってくる席はない」と言われていたとしても、それでも育休を取ったような気すらする。


諦めていた妊娠がわかり、ふたりで踊ったあの日。
ちゃんと育つか不安で、楽しみと不安感でいっぱいだった妊娠中の日々。
出産に立ち会って、はじめて2300gと少しの小さな赤ん坊を抱いて、そのとき自分はなにを思ったのだろうか。

あれから1年。


ふと、妻の事業を立ち上げた際のことを思い出した。

田舎だから働くところがない。だったら自分たちで作ろう。
自分で住むところくらい、自分で決めよう。
私たち家族の人生をデザインするのは、他でもない私たち自身。
そうして紆余曲折ありつつも、なんとか夫婦で力を合わせてここまでやってきて、生活の基盤もちゃんとできたし、子どももこうして生まれた。

いつだって、ふたりで力を合わせて生きてきた。もちろんこれからも。


今日決めたこと。
東京には行かない。
中長期出張を伴う札幌の仕事もやらない。

その方法はまだよく見えないけれど、仕事にあわせて生活を作るのではなく、生活にあわせて仕事を決めよう。
いつだって、そうやって探しながら歩いてきたはず。



今日はたくさんの人から電話やメールをいただきました。
それは、すべてこの仕事の件を心配してくれる心優しい友人知人たち。
そしてこのブログや、他のところでコメントをくれるみなさん。
感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。
こんなにも真剣に心配してくれる人がいる…と、とても励まされました。

本当は今日書きたかった「1歳おめでとう」が書けなかったので、明日土曜日ハルトの1歳特別編を書いてみたいと思います。