専業主夫だった日々~はじめの頃

紆余曲折があり、会社ではじめての男性育休取得者になることが決まって、実際に育休に入るまでの間、自分の気持ちは正直浮かれていた。
なにしろ育児「休暇」だ。休暇と言えばお休みのこと。つまり毎日日曜日ってことだ。
もう早起きしなくていいし、ストレスで潰瘍ができることもない…。
育児といっても、たかが赤ん坊の相手をすれば良いだけのことじゃないか。
なにしろ会社に行かなくて良いのだ。

ところが、この考えは間違いだったことにすぐ気づく。

ちょうど育休に入る頃の赤ん坊は生後6ヶ月。
いま振り返れば、自分にとっての育児はこの育休に入ったころが一番大変だった。

まだ「寝たきり」だった赤ん坊は、とにかく抱っこを要求。
とにかく抱いていないと機嫌が悪く、抱きながらだとなにもできない。
また後追い泣きも激しい時期があり、妻の姿を探して大泣きし、自分の手から脱出しようと大暴れするのも大変だった。

そうなると本当に何もできず、後追い泣きされてしまうと、何も出来ないどころか仕事がある妻の手まで借りることになってしまう。

自分の好きな過ごし方どころか、家事も満足に出来ない…。

育児休業の期間中は、育児のほかに家事、特に炊事をしっかりやる、という小さな目標を立てていた。

多少の育児休業給付金が出るとはいえ、基本的には無収入な専業主夫であり、SOHOな妻に経済的に頼っている状況だから、「最低でも妻にはおいしいご飯を作りたい」という気持ち。
妻は一日中家にいるのだから、1日3回「ちゃんとしたごはん」を用意することは、専業主夫の義務である、と考えていた。

ところが「ベッドに置けば寝ている」はずだった赤ん坊は、ひたすら抱っこを要求し、まったく解放してくれない。ちゃんとごはんを作りたい気持ちはあるのに、それがかなわない。
きちんと料理していたこともあったけれど、パンを買ってきただけ…なんてことも多く、自分としては心苦しさを感じていた。
もちろん妻はそんなことを言ったりはしないけれど、専業主夫としてちゃんとしなきゃ…というプレッシャーはかなり強かったような気がする。

育休は決して「休暇」などではなく、「家事育児」という新しい仕事に就いた…というのが実感として正しい。

会社員として会社に行くのと、専業主夫として働くのと、どっちが大変かと聞かれれば、専業主夫のほうが大変だ…というのが育休の最初の頃の正直な気持ちだったと思う。
やはり土日や夜だけ顔を見るのと、一日中わけもわからない赤ん坊の相手をしているのとでは全然違う。

育休をとらないほうがよかった、と思う瞬間は最後まで無かったけれど、でも「育児がこんなに大変だなんて…」という気持ちになったことは数知れない。
当時は意図的に「大変」という言葉は使わないように、思うことすらしないように努めていたけれど、やっぱりそれは無理をしていたのかもしれない。

とはいえ、慌ただしい日々を過ごしつつも、時間の経過とともにだんだんとペースがつかめてくると、生活のいろいろなところで余裕がでてきて、やっぱり育休をとってよかったなーと思える瞬間も増えてくる。

…明日に続きます

Haru0001
↑当時のハルト。寝ているときは平和だった…