五月人形

リビングに、思い出のつまった大きな五月人形を飾った。

前回、実家に帰ったときに父親から「これ持って行け」ともらったものだけれど、これ実は31年前に自分の誕生を祝って、母方の祖父が0歳の自分に買ってくれたもの。

Gogatsu

祖父は男の子の誕生を待ち望んでいたそうで、初孫の男の子の誕生にそれはそれは喜んだらしく、その思いがこの五月人形には込められている。

その後も自分の成長をずっと見守ってきて、小さいときの写真にはこの五月人形と一緒に写った写真がたくさんあるし、子どもの頃の記憶のなかのいろいろなところにやっぱり、この五月人形がある。
「大事大事だからね…って言ったら、アナタはちゃんといらずらしないで大事にしていたのよ」とは母の弁。

大きくなってどこか奥にしまい込まれ、もう20年近く組み立てられることはなかったのだけれど、今回さらにその息子の誕生を祝い、また健やかな成長を願って、飾られることになった。

祖父はこれをくれた後すぐに亡くなってしまい、孫の成長を見ることはできなかったのだけれど、おじいちゃん、大丈夫。ちゃんと健やかに育っていますよ。

どうか孫の息子もまた健やかに育つよう、見守っていてください。

…ちょっとほこりくさい人形を組み立てながら、写真でしか顔の知らない祖父のことを考えた。