四季のある通勤

自宅からサラリーマン職場まで30kmとちょっと。
35分ほどの通勤路、大半は農村地帯のなかの道のりだ。

信号もなく、他のクルマもほとんど走っていない。
ときにはシカを見ることもあるし、キツネが道を横断していることもよくあるので気を抜けないけれど、でも広い広いまっすぐな道をずっと運転していくのは気持ちが良い。

通勤路は何通りかの行き方があり、どの道を通ってもそれほど所要時間は変わらないので、気分に応じて道を変えることがあり、それぞれ違うものが見られるのも楽しい。

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ちょうど今頃は、まもなく刈り取りの小麦畑の金色がきれい。
この小麦は、小麦粉になってうどんやパンの原料になる。
刈り取りは幅5mもある巨大なコンバインを使うのだけれど、その様子は「ここはアメリカか?」というくらいの迫力。


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ここは白樺の道。
左手の畑にはジャガイモの白い花、右側は豆かな?

首都圏在住時、通勤中に文庫本を読むのが楽しみだった。
ところが北海道に移住すると車通勤となり、もちろん自分が運転するのだから本も新聞も読めない。

それが最初は不満だったけれど、でも、運転にも余裕がでてきてまわりの景色が楽しめるようになるに従い、季節毎に刻々と変わっていく景色の魅力に気付いた。

冬は純白の大地。
宝石のような樹氷やダイヤモンドダスト。
雪解けの鮮やかな土の色と小麦の緑。
霧の中に浮かぶカラマツ林。
遠くの大雪連山の朝焼け。
月夜に浮かび上がる日高山脈。
天の川やさそり座の赤い星。

2年もすれば飽きるよ…なんて言った人もいるけど、いやいや毎日毎日見ているからこそ、飽きるなんてことはない。

帯広では非常識に長距離な通勤だけど、でも自分はそんな通勤路がちょっと気に入っている。