初めての立ち会い出産

妻は月曜日に再入院して、明日水曜日母子ともに退院の予定。
いよいよ明日は赤ちゃんが家にやってくるけど、それを前に忘れないうちに2週間前の立ち会い出産の様子を書いてみたい。
(長いです。スイマセン)

立ち会い出産、今回は妻が妊娠当初から「ぜひ立ち会って欲しい」と希望していたし、夫である自分もぜひ!と思っていたので、立ち会いにすることは当初から決めていた。

病院の方針としても「可能な限り立ち会いして欲しい」というスタンスで、実際、この病院では立ち会う夫婦のほうがずっと多いそうだ。


今回の出産は、夜23時半の破水から始まり、1時間後の深夜に入院した。

入院してすぐは陣痛もそれほどではなく、夜間入口から案内されたLDRでゆったり。
LDRというのは、1つの部屋で陣痛と分娩と回復ができる、というタイプの病室。


今回出産した病院にはLDRが5つあって、今回利用したのは「コスモスの間」と名付けられた部屋。

コスモスの写真が飾られたアットホームな内装で、ベット側に家族が待機できるソファやテーブルがあり、有線で音楽がかかっていたり、照明もホテルのようでなんだかとても優雅な気分。
調度品も木調で、医療器具は目に入らないようになっていて、ドラマにでてくる手術室のような部屋?を想像していた私たちには意外。
イメージ的にはホテルに泊まってて、そこに医療スタッフがお産しに来てくれる、って感じかも?

↓LDRのなかはこんな感じ。いざ出産!という時は前の自動ドアがガバっと開いて、スタッフだの医療器具だのが登場。
LDR


前半は深夜から明け方にかけてだったので、ウトウトしたりトイレに行ったりとゆったり。
携帯電話利用も制限なしだったので、神奈川の家族にメールを書いたり、ブログに記事をいれたり、みなさんにいれていただいたコメントをベッドの上で読んだり。

妻もそれほど苦しそうでもなく、ベッドに横たわって抗生剤の点滴を受けているものの、話をしていると出産目前という緊張感はまるでない。
…さっきまで観劇に行ったり買い物していたりしていたわけだから当然か。

お産ってもっと大変な時間が延々と続くのかと思ったけれど、妻とおしゃべりをしたり、陣痛の間隔を「ハイ痛い」「ハイ収まった」なんて言って「150秒、2分半ってとこだね」とか計ったり、助産師さんと雑談をしたりと和気あいあい。
その間も骨盤のレントゲンを撮って「素晴らしい骨盤だ!」と医師に太鼓判を押されて喜んだり。

かなりの時間は夫婦ふたりきりになるけれど、腹に胎児の心拍を計るモニターが付いていて、院内のあちこちでネットワーク経由でリアルタイムにモニターしていて、異常があるとアラームが鳴ってすぐに誰かが駆けつける…という仕組みだそうだ。(LDRと併せて院長ご自慢の設備みたい(笑))

朝になると診察があり、陣痛促進剤の使用について医師から説明を受けて同意書にサインしたり、バルーンの挿入の準備をしたりと、少しにぎやかになってきた。
(結局促進剤もバルーンも使用せず)


途中で食事があり「こんな状況でごはん?」と思いつつ、たしかに腹は減っていたのでふたりで食べる。

昼近くなって、だんだんと陣痛が厳しくなり、子宮もだいぶ開いてきた様子。
さっきまで冗談を言っていた妻も、苦しそうに痛がっている。
「ううーん」とうなっている妻の様子を見ているとちょっと心配。


お昼12時頃、内診。
助産師の「子宮全開です!」という言葉を合図に、妻を乗せたままベッドが変形して、そのまま分娩台に変身。
足を開いた例の出産ポーズに。
スタッフはなにやら準備に忙しそう。カチャカチャと道具を用意する金属音が緊張感を高めている。
妻はとても苦しそうだ。

辛くて呼吸が乱れそうになる妻に「ゆっくりフーだよ、フー!」なんて言いつつ、ふたりで息を合わせて呼吸。

その後、旦那さんはコレ着てください、と、給食当番みたいな格好に着替えるように言われ、一度室外へ。
着替えて戻ると、もうだいぶお産は進んでいる様子。

助産師に「ココを強く押して!」とおしりを押すように言われ、「やっぱ助産師さんのほうが上手だなぁ」なんて妻に言われつつ押したり、お茶を飲ませたり、手を握ったり。


…頭が出てきました!
おおっ、ホントだ。髪の毛が見えてる。妻も赤ちゃんもがんばれ~。

最後には白いへその緒に繋がったままスルっと出てきて、オギャー!と第一声。
…おおっ、元気な赤ちゃん!!誕生おめでとう!!そして妻も赤ちゃんもおつかれさま!
妻よ、あなた赤ちゃん産むのなかなか上手なんじゃない??(笑)


その後、胎盤がでてきて、医師と雑談などをしながら、後処理が進む。
このときに縫ってくれた医師は不妊治療の時に診察してくれたお医者さんで、妻が自分の指示どおりに痩せて、そして今日こうして出産を迎えたことがとても嬉しそうだったのがとても印象的。「不妊と肥満には大きな相関関係があるんだよ。僕の経験上、太っていて不妊の人は痩せればだいたい解決だね」なんて言っていた。

その間に赤ちゃんはキレイにしてもらって(?)、タオルにくるまれて私たちのもとにやってきた。
初めまして。私たちの赤ちゃん。
そっとさわってみると、ふにふにしていて壊れてしまいそう。
でもこんな小さいからだのどこからそんな声が?というくらいの泣き声を上げる元気な男の子だ。
そんな彼の様子を見て、夫婦で顔を合わせてなんだかホッとした気持ちに。

その後、妻はなぜかアロマテラピーを受け(院長の趣味らしい(笑))、おつかれさまシャーベットをもらって出産は無事に終了。


そんなわけで、初めての立ち会い出産、出産の一部始終を見て素直に感動できたし、なによりも妻と一緒に「子どもを産む」という大仕事を共有できて本当に良かった。
なんだか自分も力が入って汗だくになってしまい、「一緒に産んだ」って感じもする。
安産でしたね、ってみんなに言われたけれど、でもやっぱり妻は大変な思いをして子どもを産んだ、というのがとてもよく理解できたし、自分たちの子ども…という実感もしっかりわいた。

入院から出産まで12時間以上に渡ってずーっと妻と一緒にいて(母子手帳忘れて一度帰宅したけど)、陣痛がだんだんと強くなる様子、頭が出るところから、初めての産声、白いへその緒を引っ張って後産で胎盤が出てくるのも、へその緒を切るところも、ちょっと切れてしまったところを縫うのもずっと見ていたけれど、「へー、胎盤ってこんなのかい」とか「あんなふうに縫うとは!」なんて、なかなか新鮮な体験でした。


「立ち会いなんてグロいし見るもんじゃないよ」というようなことを言う夫たちもいるけれど、自分としてはそれほどグロいとも思わなかったし、2人目・3人目も(生まれれば)ぜひ立ち会いしたいし、立ち会うと思う。
自分は血が大丈夫な人だということもわかったし、妻を女性として見られなくなる…なんて話もたまに聞くけど、そんなこともない。
2人め以降は上の兄弟にも見せてあげたいなあ。(子どもには刺激が強いかな?)

そんなわけで、立ち会い出産、できるものなら、そして奥さんや自分が望むならけっこうオススメ!という話でした。


おまけ。
赤ちゃんが生まれる、ということで一応買っておいたビデオカメラがあって、ほとんどなにも撮っていなかったんだけど、出産直後に助産師さんが気を利かせて少し撮ってくれた。
後から思い出して見てみると、妻と赤ちゃんが初めて対面する様子や、父になった自分がいま生まれた赤ちゃんを見つめる様子、医師と赤ちゃんについて話している様子など、たった2分程度の短いビデオだけど、ちょっと感動的な内容。
大切なものになりました。助産師さん、ありがとう~。