住んでいるところ

今日は移住した当初の暮らしぶり、家賃2000円でのサバイバル生活について書こうと思ったけれど、つい先日同じ内容を書いたばかりなので、リンクでご紹介。
こちらです→スタートの季節

そこで代わりに自分たちの住む集落について少し。

…の前にまずは、十勝と帯広のご紹介から。
十勝人に言うと誰も信じないけれど、実は十勝って十勝人が考えているほど全国的な知名度は高くない。
一般の道外人にとっては「北海道のどっか」くらいの認識だと思う。

おおざっぱに言って、北海道の真ん中から右下あたりの一帯が十勝。
「十勝」という地名があるわけではなく、このあたりの20市町村をまとめて「十勝」と呼ぶ。

十勝の広さは10,830平方キロ。
多摩の山も含めた東京都全体の5倍の広さに、人口たったの36万人。

その中心地となるのが帯広市で、人口17万人くらい。
冬は日本有数の寒冷地で、気温はマイナス20度をも下回る土地柄。
最近は豚丼効果で少しは名前が売れたかな?

そこに自分のサラリーマン職場があり、日々の買い物やいろいろな用足しは、たいていこの帯広で済ませることになる。


そして自分たちが住んでいるところは、この帯広のとなりまちの芽室(めむろ)町というところ。根室(ねむろ)じゃありません。
人口は18700人。

そしてその芽室町のなかでも、街の中心部から15キロくらい離れた集落に現在の住まいがある。

この集落に住むのは、約80世帯200人弱といったところ。
(って役場のホームページに書いてあったけど本当か?もっと少ない気がするけど…)

ときどき「隣の家まで何キロ?」とか聞かれるけれど、集落内だけをみればいたって普通の住宅地。
たとえば我が家の区画は20m弱四方くらいなので、田舎ってわりにはそれほど広い…ということもない。

集落内には小学校・中学校・郵便局・駐在所や小さな商店などもあり、上水道に下水道、もちろん電気も電話も使え(携帯は使える会社と使えない会社があるみたい)、たしかに田舎であることはたしかだけれど、一般的に想像されるような田舎とはちょっと違うかもしれない。
(ただしコンビニや駅、本屋やスーパー、銀行や病院なんかは15キロ離れた街の中心地までありません)


さてさて。
この集落、住み始めて5年になるけれど、実はとても気に入っている。
(当初住んだ家賃2000円の家も、新築の「四つ葉屋根の家」も両方とも集落内)

水がおいしい、信じられないほどの静けさ、澄み切った空気、ヒグマが出たりノウサギすら庭で見かけるほどの自然の宝庫、美しい河川、移住者への理解ある住人気質…などもたしかに素晴らしいけれど、なかでも特にお気に入りなのが、この集落自体のロケーションだ。


晴れた日の日中に、街から15キロの道のりを家に向かって目指そう。

ずーっとまっすぐな道の両側には、広大な畑が広がっている。

冬はどこまでもどこまでも白い大地。
春は、土の焦げ茶と麦の緑。
夏、風にゆれる小麦と、ジャガイモの花。ビートや濃い緑。コロコロとまあるい牧草ロール。

そして白い雲、青い空。
まっすぐに並んだ防風林。
さらに奥には、遙か彼方、えりも岬まで続く日高山脈の雄大なやまなみ。

毎日毎日同じ道を通っていると、土が耕され、作物が植えられ、ぐんぐんと成長していくさまが手にとるようにわかるのも楽しい。

さらに道を進んでいくと、遠くに見ていた日高山脈がぐんぐん近づいてくる。
途中スキー場の横を通り過ぎ、林を通り抜ける。

あるときは吹雪に遭い、あるときは新緑が目にまぶしく、またあるときはたんぽぽの綿毛につつまれ、またあるときはカラマツの紅葉で一面真っ黄色になる、そんな林。

林が終わると道は上り坂になり、いよいよ山が目前…といったところで、ようやく集落に到着。

自分はこの道のいかにも「北海道!」といった趣きの一連の風景、そしてこの道の先にある私たちの住む集落の「日高山脈の山ふところに抱かれている感じ」がとても気に入っている。

そういえばこの道、正式名称を「道道芽室大樹線」というけれど、集落内に住む音楽家夫妻が、この道の移りゆく季節の風景に感動して、道をテーマに歌った歌だってあった。

そして夜。
そこには満天の星空が広がり、月のない夜は天の川に圧倒されそうだし、月が明るい夜には月明かりに照らし出された日高山脈がまた幻想的で大好きだ。

たしかに山のすそ野のようなところなので、帯広などに比べるとあきらかに雪は多いし、気温も冬は低く夏は高く、気候的にはかなり厳しいのも事実だけど、そんなこと吹き飛ばしてしまうくらい、この集落のロケーションは素晴らしい。

田舎暮らしだけど田舎暮らしじゃないよ、とか、まあいろいろ言うけれど、たしかに住んでいるところは田舎と言って差し支えないだろう。

そこでどんな暮らしをしているかというと…

田舎暮らし?に続きます(笑)