田舎暮らし?

東京のテレビ局から取材の依頼が来た。
田舎暮らし+SOHOの生活を取材させて欲しい…とのこと。
月10万円で暮らすなんとかかんとか…?とか、そんな番組のようだ。

うーむ、田舎暮らしねえ。
田舎暮らし。
そもそも田舎暮らしの定義ってなんだろう?

たしかに今住んでいるところは誰がどう考えても田舎だ。
田舎に住んでいるのだから田舎暮らし。
それはそれで間違いがない。

でも、移住前になんとなく考えていた田舎暮らしとは、たとえばこんな感じ。
・野菜などを作って、半自給自足。庭にはニワトリが歩き、馬もいたりして、土と戯れる生活。
・休みの日は野菜作りや野山を歩き回って、たとえば山菜を探したり、釣り糸を垂れたり。
・近所の農家などと月1回程度の濃い交流。
・古い寒い家で、寒さに震えながら雪と格闘し、時には大変な目にあいながら苦労しながらの暮らしぶり。


しかしたしかに田舎に引っ越してきたものの、現状はかなり違う。
・ネットでガンガン働く妻。自分はシステム屋サラリーマンとして働きながら、家事を補う兼業主夫暮らし。当然、慢性的に忙しい。
・休みの日は野山…ではなく、あちこち車や飛行機で出かけること多し。海外にも行くし、国内もアチコチ。
・なんでもかんでもネットで買えるので、「買いたいけど(田舎なので)買えないもの」なんてなにもない。情報格差も感じない。
・もちろん野菜なんか作っていないし、かろうじて味噌くらいはつくるけど、その他は全然。外食も非常に多い。
・近所の農家、交流どころか、知り合いすらごく少数。
・最新の工法で建てた一戸建ての住みやすさ。いつも明るく、寒さなんて無縁だし、全室LANだの電動スクリーン付ホームシアターだの食洗器だの自動トイレだの無停電システムだの外出時のペット&室内監視システムだの、なんだか気持ち悪いほど快適で便利な暮らし。

というわけで、いわゆる「田舎暮らし」とはかけ離れた生活をしているような気がする。
時々初対面の人に「『北の国から』みたいな暮らし?」とか聞かれるけれど、いつも「違いますよ!」と答えている。本当は『北の国から』って名前とさだまさしの歌くらいしか知らないので、よくわからないのだけれど(笑)

もちろん典型的田舎暮らしにあこがれていたわけではないし、自給自足を目指しているわけでもないのだから、今のところ今の生活に不満はないし、忙しいと言いつつも毎日おもしろおかしく生きていると感じている。
(でもこのブログのタイトルには「田舎暮らし」って入っているなぁ。「田舎在住」くらいにしたほうがいいのかも。)

取材の話に戻ろう。
番組は「月10万円で暮らす…」ということらしいけれど、夫婦ふたりで全力で働いているわけだから、残念ながら月10万円で暮らしている…なんてことももちろんない。

ちなみに偏見かもしれないけれど、彼らテレビ界の中の人は「テレビ的に面白いか否か」が判断基準なので、経験上あまり好ましくない目に遭うことも多い。
そういうものに対する心の広さは持ち合わせていないし、取材を受ける必要性も義務も感じない。
そんなわけで、結論としてはこの取材はお断りしました。

…田舎暮らし。
田舎暮らしにあこがれていたわけではない、と書いたばかりだけど、本当はちょっとだけあこがれる気持ちもある。
この土地にはそういう暮らしができる要素は存分にある。
歳をとったら、いつか真の田舎暮らし人になるのもいいかもしれないし、その前に事業不振や解雇でそんな田舎暮らしを実践することになるかもしれない。それもそんなに悪くないかなあ。
そんなことを思う、なんちゃって田舎暮らしの今日この頃だ。