朝の温泉

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6歳の長男ハルト(温人)はその名前のせいか、温泉が大好き。

先日のこと。
「とーちゃん、明日さぁ何時に起きたら温泉連れて行ってくれる?」なんてハルトが聞いてくる。

…そうだなぁ5時半に起きたらいいよ。

そうして先日買ったばかりのマイ目覚ましを5時半にセットして寝たハルト。
目覚ましが5時半に鳴るのは迷惑なのでそっと止めて、翌朝5時半にハルトを起こした。

気温は氷点下23度。
心なしかかかりのわるいエンジンをかけて、まだちょっと眠そうな顔をしているハルトを助手席に乗せて、車で15分ほどの温泉に向かう。

2月の夜明け。
だんだんと明るくなっていく空を車内から見ていたら、このハルトが0歳のときのことを思いだす。

泣いて泣いてどうしようもなくて、深夜チャイルドシートに乗せて車を走らせたこと・・
それでも泣きやまなくて、結局明け方になってしまったこと・・

それもたまに…ではなく、わりと日常的だったこと・・

夫婦揃って本当に心身ともに疲れ果ててしまい、子どもを育てることってなんだろう・・
どうしてこんな目にあっているんだろう・・

そんなことをぼんやりと考えていたあの日。

そんなハルトも大きくなり、いつの間にかそんなことはなくなっていった。

…次男ナツキも三男あゆむもそんなことは一度もない。

あれはなんだったんだろうなあ・・

長男は手がかかるから…ってみんな言うけど、そういうことなんだろうか。

「とーちゃん、温泉に行った事はナツキには内緒ね」
…そうだな、かわいそうだから内緒にしておこうか。

もうすっかり大きくなったハルトに背中を流してもらいながら、そんな話をする。

そんな冬の日の朝の温泉。