移住8周年

私たち夫婦は2000年のゴールデンウィーク、いまから8年前の2000年5月1日に北海道にやってきた。

小さいクルマに毛布だの照明器具などを満載して、フェリーに乗ってさながら夜逃げのような格好でやってきた私たち夫婦。

最初に住むことになった家賃2000円の古い家、それは今でも近くに建っているけれど、その家の前を通るたびに家賃2000円暮らし、そして期待と不安の入り交じった当時の気持ちを思い出す。


家にはストーブもないし、電気もつかない。
床は抜けているし台所はないし、そもそも水道もない。風呂も使えない。電話もない。
当時はちょうど有珠山が噴火して、JR貨物に頼んだ引っ越しの荷物も遅れている…。

夢見ていた北海道田舎暮らしとはいえ、遠くから見知らぬ土地に来て、知り合いなんてひとりもいない土地で、こんな家でどうなることかと思ったけれど、でも結局は家の修理も楽しんでできたし、念願だった犬も飼えた。

冬にお風呂全体が凍り付き、浴槽全体が巨大な氷の固まりと化したときはホント困ったけど、でも我らは夫婦だったし、どんなことでもなんとかなるさ…そんなことを実感した8年間でもあった。


2000円の家に何年か住んでいるうちに、この地域の良さに気づいて、5年前には土地を購入。

家が壊れているなら自分たちで直そう、仕事がないなら自分たちで起業しようぜ、みたいな感じでやってきたのに、家族計画?だけは思い通りにいかなくて、当時結婚して6年か7年、子ども欲しかったのにまったく恵まれず、もう子どもはあきらめて「ふたり用の家」を設計して建てて引っ越し。

新しい家に住み始めた翌年には思いがけず妊娠して、長男ハルト誕生。
続いて2年後に次男夏樹誕生…というあたりはこのブログに書いてあるとおりだ。


子どもが生まれると、地域に格段に知り合いが増え、育児関係の集まりに顔を出すようになったり、その他の地域活動に誘われるようになったりもして、8年経ってようやく「ここが自分のホーム」という感覚を持てるようになった。

この地では移住者はいつまで経っても移住者なんだけど、でも自分の土地に自分の家を建てて、自分の家族が増えて、なんとなくここが自分の居場所だなー、という気持ち。


そういうつもりで来たわけではないけど、ここはとても子どもを育てやすい土地で、きっと子ども達は自然に囲まれたこの場所で、移りゆく季節を感じながらのびのび育っていんだろうなあ..なんて思うと、やっぱり思い切って北海道にやってきて良かったなぁ、なんて改めて思ったりする。


自分たちの住むところ、自分たちの生き方くらいは自分たちで決めたいし、幸せなことに今のところはそれができている我が家。
それができるのは、妻やいろいろな人や事柄のおかげで、本当にみんなに感謝だ。


交通事故にあったり、職を失ったり…なんてこともあったけど、でも全体としては快適で楽しい北海道田舎暮らし。

数十年という単位の長さで見ると、歳をとって死ぬまでこの家に住み続けられるかはわからないけれど、でも今のような日々がいつまでも続いたらいいなー。


5月は遅い遅い十勝の桜が咲き、すべての植物が一斉に芽吹き、命をふくらませる季節。
今年もまたそんな植物の成長を見ていると、初めて目の当たりにするそんな植物の成長に感動していた気持ちとともに、8年間の日々に感謝だ。