育児とは

先日、ある育児サークルに呼ばれた。
父親の育児について座談会をするので、ゲストとして育休の経験を語ってくれないか?という話。

同じ年頃の子供を持つママたちと車座になって、父親としての育児経験の話をした。

その後、参加者各自がそれぞれの夫婦の話、特に夫の育児への参加を発表する段取りになり、ある人が言った一言がきっかけになって「育児とは?」という話になった。

そのきっかけとは自分以外で唯一参加していた男性が言ったこと。

要約すると、自分にとって育児とは苦痛な仕事でしかない。普段(サラリーマンとしての)仕事があるのに、休みの日まで育児の仕事はやりたくないけど、仕方ないのでやっている…という話。

そんな話が出たので、各自にとって育児とは?という話をディスカッションした。

自分にとって育児とは一言で言うとなんだろう?

たしかにこれは試練だ…という思う瞬間はある。苦痛な仕事だ…と思うことがまったく無い、と言ったらそれはウソだろう。
泣きやまなくて途方に暮れるとき。機嫌が悪くてどうしようもないとき。気持ちが通じ合わないとき。
自分のやりたいことがなにもできない…なんて思うことも無くはない。

でもそんなことばかりでは決してない。

ハルトが怖いことや困ったことがあって大泣き。自分を頼って来るので「よしよし」抱き上げると、ぐちゃぐちゃの顔のまま笑顔になってニコっと笑うとき。
いままで出来なかったことができるようになったとき。気持ちが通じたとき。

子の顔を見て癒されたり、不思議な充足感に満たされたり、子どもを愛おしいと感じたり、ずっしり重い子どもを抱き上げて人生のなかにこんな時間があって良かったなー、と思うことだってとても多い。
子どもを育てるなかで、実は自分が育てられているんじゃないか、と思うことだってある。

子どもの反応が面白くて笑い転げたり、子育てってエンターテイメントだよね、と思うことだっていっぱい。

つらいことも楽しいことも、両方ともいっぱいなのが子育て。
子育ては苦楽しい、と誰かが言っていたけれど、本当にそうだ。

…自分はママ達にそんな話をした。

自分にとって育児とは苦痛な仕事でしかない、と言い放った彼の気持ちも部分的にはわからないのでもないけれど、それだけじゃないのになぁ…ともやっぱり思う。

でも一方で彼がそんな感想を持つのは、やっぱり子どもと接する時間が極端に少ないのがひとつの原因であることは容易に想像がつく。

自分自身、育児休業に入ったころと今を比べても、やっぱり子どもと一緒に過ごす時間の長さと、子育てへの気持ちの間には大きな関係があるのは実感としてわかる。

子育てがその人にとって何なのか、というのは人によって違うのは当然だし、それはそれでいいけれど、でももう少し子どもと過ごす時間が長かったら違うのになぁ。

そんなことを思いながら、みんなの話を聞いていた。

自分はそういうことをひとつひとつ感じながら、子どもを育てていきたい。