もくもく事件

日曜日1泊2日の旅行から帰ってくると、家の中が少し寒い。
そうだ、石油ストーブを落として出かけたんだった。

家の中のあかりをつけて、薪ストーブに火を入れた。
薪ストーブの点火のコツは、点火するときだけ、ほんの少し窓をあけること。
この家は木造建築といえども高気密住宅。
煙突から外に煙が排出される際、家の空気圧の関係で少し窓をあけて、外気圧との差をなくすとスムーズに煙が排出される。
台所の換気扇を使うときに少し窓を開けたほうが、よく排気されるのと同じ理屈だ。


薪に火をつけて、窓を閉めた。
すぐには温かくならないけれど、ごはんの仕度をしているうちに暖かくなるだろう…ということで、赤ちゃんをおんぶひもで背負って夫婦で台所に立つ。

近所の友人においしいゴボウをもらったので、今日はゴボウ三昧。
それと、タマネギをまるごとコンソメスープにしよう。
それに帰りがけにかってきた道産ブロッコリーをゆでよう。

鍋にたっぷりのお湯をわかして塩をひとつまみ。
換気扇をつけて、切ったブロッコリーを投入…。
新鮮な野菜はゆですぎないようにね…と、そのとき事件は起こった。

んん?なんかくさくないかい??

と、ふと薪ストーブのほうを見ると、うわっ!
薪ストーブがモクモクとすごい量の煙を吐いている!
まるで家の中で発煙筒をたいたようだ。

またたく間にリビングが煙でいっぱい。
どひゃー!か、か火事!?

スイッチ!スイッチ!…って薪ストーブなんだからスイッチなんか無いって!
と、天井についている火災報知器が耳をつんざくような大きな警報音を立て始める。
ピー!ピー!ピー!

消火器を使うのか!?いや火はない!
ピー!ピー!ピー!

妻が叫ぶ
「換気扇!換気扇を止めなきゃ!」
ピー!ピー!ピー!

妻が換気扇を止め、大きな窓をがばっとあけると、煙は一気に外に流れていく。
次第に煙は薄くなり、火災報知器の警報音は止まった…ふう。

いやはや焦りました。

もくもく事件の犯人は自分でした…。


…ことの次第はこう。

・薪ストーブはいい感じに燃えていた。
・薪ストーブ使用中は換気扇は使用厳禁。どうしても使うときは窓を開けてから。
・…ということをすっかり忘れていて、うっかり台所の換気扇(レンジフード)をつけた。
・換気扇が空気を外に出すと、家の中の空気圧が負圧になる。
高気密住宅なのですき間はほとんどなく、薪ストーブの煙突から外の空気がストーブを通して家の中に逆流。
・薪ストーブの排気が煙突から外に流れないので、ストーブ内の酸素不足で火が消える(不完全燃焼?)。同時に煙が大発生。
・本来空気取り入れ口のところから煙が家の中にモクモク。

…なんかこう書くとけっこう危ない感じだなぁ。
一酸化炭素中毒などにならなくてよかった…。
新築してはじめて火災報知器の警報が動作して動作チェックはできたけれど。(そういう問題か?)

教訓。
薪ストーブ使用中、台所の換気扇は絶対に付けてはならぬ。

我が家も含めた最近の高気密住宅には24時間換気する仕組みがあって、ふだんは床下から外の新鮮な空気を取り入れて、ゆるやかに空気が入れ換えっている。
しかし台所の換気扇は換気量が多いので、この空気取り入れ口では空気の流入量が全然足りず、今回のようなことになってしまうという次第。

北海道の家は断熱も気密も充分で暖かいけれど、薪ストーブなどちょっと変わったことをしようとするとやや難しいですな…という話でした。