西風が吹くとき

朝、風の音で目を覚ました。
外を見ると、強い西風がビュービューと音を立てて吹いている。

自分の住んでいるところはちょうど日高山脈の山裾と十勝平野の境目のところにあって、晩秋から冬にかけてのこの季節、決まって強い西風が吹く。

あんなに綺麗だった紅葉も風に吹き飛ばされ、窓から見える風景も、急速にその鮮やかさを失ってゆく。
それは白い世界の下地を準備しているかのよう。

南風でも北風でもなく、決まって西の風。
それは長い長い冬の到来が近いことを告げる風。
この風が吹くと、いよいよ雪の季節も目前だ。

今日は稚内や旭川など、平野部でも雪の舞ったところがあるそうだ。
たしかに気温はとても低く、コートなしでは寒いほど。

これから最後の紅葉であるカラマツが染まり、ある日雪が降ってくる。
どこまでも真っ白な大地、それはこの地に昔々から続く約束ごと。


はやく純白の大地が見たいような、なんだかその日が来るのが怖いような。
強い西風のなかに立って、そんなことを思った。


晩秋、陽が落ちた後の近所の風景。
CRW_4235