北を目指す

先月、Nifty会員誌(そんなのあったのか!?)からこのブログを「田舎暮らし」の特集で掲載させて欲しい旨依頼があって、メールで質問に回答してデジカメ写真を送るだけだったので、ちょちょいと答えておいた。
掲載誌を送ってくれる約束だったので、それが読みたいが為にOKしたのだけれど、まだ送られて来ない。
だからてっきりまだ出ていないのかと思いきや、実はもう世に出ているみたい。これです。
なんですと~!?

というわけで、この冊子から当ブログを見にきていただいた方になかには、田舎暮らしについて読みたい…というニーズがあるような気がするので、少しの間「田舎暮らし」について書いていきたいと思います。
いつもご覧いただいている皆さんには、若干これまでの内容と重複しますが、どうぞお許しを。

北を目指す

私たちの田舎暮らしを語るには、まず「北海道への想い」について語らねばならまい。

そもそも私たちは北海道の生まれではない。
出身地は神奈川県、自分は鎌倉で妻は茅ヶ崎だ。
北海道には親戚もおらず、縁もゆかりもないこの十勝地方に引っ越ししてきたのが、ちょうど5年前。
いわゆるIターンというヤツ。


北海道を知ることになったのは、自分の高校生時代に「周遊券」というフリーパスのようなきっぷを使って、鉄道で北海道をひとりで旅したことがベースにある。

2週間程度、あちこちのユースホステルや、いまでいう「とほ宿」に泊まって歩いた。
知らない人の車に乗せてもらったり、少しは思い出もあるけれど、でも特にコレといったスゴイ体験をしたわけではないし、一生に影響を与えるような衝撃的な出会いがあった…というわけではない。

でも、高校生の自分は、広い広い大地とそこに住むおおなかな人たち、彼らのフロンティア精神溢れる気質、気候や空気、そんなものにイチコロになってしまった。

それ以来、北海道好きになった自分は、大学生になっても就職してからも、休みのたびに、あるときはJRで、あるときはフェリーで、またあるときは飛行機でと、何度も何度も北を目指した。

そのたびに北海道の魅力にはまってしまい、これはもう住むしかないでしょう…とぼんやりと考えていた。

その間に知り合い、一緒に行動を共にするようになった妻もまた、洗脳がうまくいったのか、あるいは逆に彼女に洗脳されたのかはよくわからないけれど、一緒に北海道への想いは募るばかり。


その間にカナダなど北方の海外にも行ったし、国内の他地域もいろいろ見て回ったけれど、やはり日本の北海道が好き。
自分も道民になりたい。北海道に住みたい。

そんな気持ちは大きくなるばかりだった。

それは単純に、北海道という土地が好きだから。

好きなことに明確な理由はない。
もちろん、食べ物がウマイとか、自然が多い?とか、人が少ないとか、春がスーパーゴージャスだとか、季節の移ろいが最高とか、フロンティア精神溢れる土地だとか、小さな理由は挙げられるけれど、でもどれもわざわざ居住地を変えるほどの理由にはならない。


そうそう、新卒で就職するときに「北海道の会社」を選んだ、なんてエピソードもある。
昔からコンピューターをいじっていたし、大学の専攻もその関係だったので、当時北海道最大手のIT系の会社を受け、無事に採用。

2ヶ月間の新人研修は札幌で行われ、札幌にある独身寮に2ヶ月間入居して、夢の北海道暮らし。
北海道を愛して止まない同僚や、道産子の同僚たちと、いろいろなところにいったり、とても楽しい2ヶ月間を過ごす。
(もと同僚のみなさん元気でやってますか?)

ところが、この会社はちょっと大きすぎて、北海道のあちこちに散らばる拠点の他に、主要拠点として「東京支社」が品川にあった。
2ヶ月間の研修の終わり、渡された辞令にはなんと「東京支社勤務を命ず」。

がーん。
そんなわけで、北海道人になる夢はこのとき一時棚上げ。

とはいえ、別にこの東京支社での仕事や、その後すぐ結婚して住んだ横浜での暮らしに不満があったわけではない。
仕事の上で大切なことはすべてこの会社で学んだし、毎日忙しいながらも充実していた。
海と大きな公園が近い白い小さなアパートも気に入っていた。

事実、結婚してすぐに京浜急行沿線で新築マンションを買おうとしていた時期があり、かなりの数の物件を見たし、住宅ローンの審査も終わらせて、ある高層マンションでは購入の申し込みもした。
(結局4倍だった抽選に外れて買えず。もしこれが当たっていたら、また違う人生だったかも?と思うと楽しい)

でも、そんな毎日のなかでも、ふと北海道の景色や、そこに住む自分たちの姿を思うことがあった。

楽しい毎日だったけれど、でも10代の後半から20代中頃にかけての自分と妻には、なんとなく「自分たちが生きる場所は北海道」、という確信のようなものがあったのも事実。


単純に、北海道という土地が好きだから。肌にあっているから。
そんなわけで、私たちは北海道に住むことがずっと夢だった。


ところが実際に移住しようとすると、実はそれほど大変なことではなく、「えいっ」とやる気になってしまえば、それほどたいしたことではない…ということに気付く。

「夢」だなんて大げさで、まあ遠い引っ越しみたいなもの。
たしかに親戚も知り合いもいないけれど、新婚の私たちには、そんなのもともといないようなもの。

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そんなわけで、明日は実際に移住したときの話に続きます。