壁紙のない家

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四つ葉屋根の家は、いわゆる「壁紙」を使っているところが一カ所もない。

壁紙、いわゆるビニールクロスはまず「ビニール」という素材感がイマイチ。
また10年20年というスパンで考えると、どうも時間の経過とともに薄汚れていくイメージがある。

要するに「新築で建ったとき」が一番キレイで、だんだんと汚くなっていく素材。
クロスも高級品になると、塗り壁風に陰影のついたものなどがあるけれど、それならばはじめから「風」ではない塗り壁にすれば良いのでは?
塗り壁とは、左官屋さんがコテを使ってペタペタと塗っていく壁だ。

そんな話をしたとき、工務店からの提案は、Fウォールという塗り壁だった。

これは阿寒で取れたコケムシ類の化石を粉にしたもので、北海道産の素材ということで「地産地消」という家のテーマにも合致しているし、見せてもらったサンプルもとても感じがよいので、これを採用することに決定。

供給元によれば、優れた調湿性・多孔質による消臭効果など、多くの効果が期待できるという。

塗り壁の場合、クロスを貼る際に使う接着剤もいらないので、新築の臭いを軽減できる…と予想し、実際に建った家は新築臭はゼロ。雰囲気的にも、コテの動きがそのまま残って微妙な陰影がついた表面、ザラザラとした素材感、真っ白ではなくちょっとだけ色の付いた壁がとてもいい感じ。

これなら長い年月が経っても「ボロい」ではなく「味わいがある」という方向に経年変化していくような気がする。

タバコを吸う家だとヤニを吸ってしまって問題アリということらしいが、我が家は幸い誰もタバコを吸わない。(お客さんにも禁煙を要求しているので遊びに来る方はよろしくです(笑))

しかしこの塗り壁、ビニールクロスに比べるとかなり割高になってしまい、それほど採用が進まない様子。
我が家も1階の仕事部屋は、塗り壁ではなくカラマツ合板(木造打ちっ放し…という言い方をするみたい)だけれど、やはりここも塗り壁にすればよかったのがちょっと残念なところだ。