雪が降らない

雪が降らない。

いや、初雪が降ったことは降ったが、本格的な降雪とはいえず、外の風景はまだ晩秋の色。

どうも落ち着かないのは何故だろう。

いつ雪が降るのか?いつ一面の銀世界になるのか?
降ったら降ったで大変なのに、心のどこかで雪を心待ちにしている自分がいる。


自分の大好きな作家に星野道夫という人がいる。
アラスカに住み、大地と向かい合って生きた写真家(故人)。

彼の写真も本当に素晴らしいけれど、それ以上に彼の書く文章がとても良くて、自分は大好きだ。
出会えてよかった…と心から思える作家のひとり。

そんな本の一節から…


秋はこんなに美しいのに、なぜか人の気持ちを焦らせます。

短い極北の夏があっという間に過ぎ去ってしまったからでしょうか。

それとも、長く暗い冬がもうすぐそこまで来ているからでしょうか。

初雪さえ降ってしまえば覚悟はでき、もう気持ちは落ち着くというのに…そしてぼくは、そんな秋の気配が好きです。

旅をする木 星野道夫著 北国の秋より