あぐらで食事する人 + いすで食事する人

四つ葉屋根の家のLDKには3畳ちょっとの畳コーナーがある。

この家には独立した和室はないが、やっぱり日本人だからゴロンとできる場所が欲しいし、畳の感触もまたいいものだ。


さて、この家には現在2名の人間が住んでいる。

ひとりは、床にあぐらをかいてご飯を食べたい人。
もうひとりはイスに座ってご飯を食べたい人だ。

ふたりは夫婦だから、もちろんご飯を一緒に食べたい。
あぐらの人とイスの人が一緒のテーブルでご飯を食べるのはどうしたら良いか?

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その答えがこの写真の奥の方に写っているテーブルだ。

これは私たちが案を出し、それをもとに建築家が設計して実現したもの。

ゆっくりじっくり家造りに取り組んで、自分たちの好みを追求していくと、こんなことまでできてしまうのが注文住宅のおもしろいところだ。


もちろん畳コーナーの高さは、あぐら希望者(私です)の座高の高さから使いやすい高さをシミュレーションして計算したものだし、テーブルの高さも同様。言うまでもなくすべてオーダーメード。

特にテーブルは「カラマツの家」なので、どうしてもカラマツの天板にしたい…という希望が建て主の私たちにも建築家にもあって、材木屋さんのずっと奥に何年も眠っていた木材(もちろん無垢材)を探して譲ってもらっい、加工業者に依頼して作ったものだ。

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↑倉庫の奥から出してきたカラマツの板を前に。材木屋の瀬上さんと建築家佐藤さん。

このテーブル、私たちが最初に見たときは単なるカラマツの板(推定樹齢70年くらい)だった。
この4m×60cmくらいのものを2mずつに切り、それを左右で貼り合わせて作ったのが天板。
長さ2m弱、幅1m弱、厚さも10cm近い堂々とした天板は、重量感もあって私たちはとても気に入っている。

使い道がなくてずっと眠っていた木材に命を吹き込み、今こうして家具となって役立っているというのもいい。完成記念パーティでは、材木屋の瀬上さんがこのテーブルを見てとても喜んでくれたのが印象的だった。

また足の長さが左右で異なり、普段はこのように畳コーナーをまたいで設置しているが、長い方の足が交換可能になっていて、普通の座卓にもなるところも気が利いている。


畳コーナーの下は3連の巨大引き出し収納になっていて、これも町内の建具屋さんにオーダーして作ってもらったものだが、幅約90cm、深さが約30cm、奥行きがなんと180cmもあるもの。
ここにはたまにしか使わないカセットコンロやホットプレート、土鍋、あまり使わない食器、それに仕込み中の味噌などが入っていて、とても重宝している。

これも設計図を見ていてふと思いついて発言した「この下を収納にしたらどうだろう?」というのが実現したものだ。


ちなみにこのテーブルの制作費用は、材木代と加工費合計で10万円もしないし、畳コーナー下の巨大引き出しも3つで10万円程度と、こだわった割にはとても安価にできたと思う。