退職を決めた日

上司と話をした。

「会社にいて仕事がない」状態で長くは居続けられないこと。
今後も東京への出張や、札幌への転勤には応じられないこと。

地元に居続けることができたとしても、22時が定時…のような仕事の担当にはなれないこと。
妻とともに子どもと向き合い、ふたりで育てていこうと決めたこと。

…だからこの仕事から降りることを決めたこと。


上司は「そういうことなら地元の仕事をがんばって探すから…」と言ってくれたけれど、それができないから「東京行って」という話になったのだし、仮に自分だけ特例で出張も転勤も免除、ということになれば、それは他の同僚たちに申し訳なさすぎる。

この業界は、やはり仕事は都市部に集中していて、今後の流れとしても地元の仕事が増えることは想像しにくく、今後も東京や札幌の仕事が中心になることは明確だ。
そうなると、やはり私たちが考える理想の暮らしと、今のこの会社での会社員生活は両立困難だ。


今回はたまたま派遣先の事情で予算を減らすことになり、要員を減らすことになった。
それが育休を取得したタイミングとたまたま一緒だったので、育休を取得したことで派遣先から切られたように見えるけれど、実はそれほど関連していないようにも思える。


会社に退職を迫られたわけではないし、特に仕事に不満があったわけでもない。
けれど、結局最終的に退職を決めたのは、妻が「せめてハルトが保育園に行く2歳までの1年間は家にいて欲しい」という希望を持っていたから。

もちろん自分自身、復職に対して「せっかく育児がおもしろくなってきたのに」…という気持ちはあったし、家族がそういう希望を持っていて、それが家族みんなの笑顔につながるのであれば、ということで決断した。


半年間の育休期間、そしてこれからまた、長男ハルトと妻と過ごす日々のことを考えた。
これまでの半年間でわかったように、家族全員で一緒に生活することは、とても楽しくて素敵なことだ。

仕事人間になることはもっと歳をとってからでもできるけれど、乳児幼児と一緒に過ごし、家族でその成長を見守り、また一緒に育てていく、育児を楽しむことは本当に今しかできないこと。

1歳になったハルトは、日に日に表情が豊かになって、こちらの言うことを理解するようになり、感情を表現したりするのも上手になった。

そんな日々を見つめていこう。

私たちが一番大切にしているもの。
それは家族。そしてその家族と過ごす時間そのもの。


考えようによっては、たまたま妻の事業が現時点で軌道に乗っており、夫が働かなくてもなんとかやっていけるのであれば、みんなで過ごせてラッキー、というような気もしないでもない。

単純に年収を総労働時間で割った(見かけ上の)時給が、サラリーマンシステムエンジニア職の夫に対して、自営フリーデザイナーの妻のほうが2倍以上だ、という試算もある。(給料安いんです…)

自分自身、無職?であることはそれほど気にならなかったし、ちゃんと子どもと向き合って、しっかり子育てしている、と胸を張って言ってきたし、これからも言える。
そう、家事や育児だって、会社員と同じように、重要な仕事だ。

もったいない、という意見もあるけれど、一度辞めたら二度と会社員に戻れないわけではないし、永遠に専業主夫になると決めたわけではない。一応専門職だから、再就職もそんなには難しくはないような気もする。

そうでなくても妻の事業でまたちょっと首を突っ込みたい部分もあるし、やってみたい、試してみたい、勉強してみたい事柄もいろいろある。

北海道に移住する際だって「(会社辞めるのは)もったいないかな」と散々悩んだけれど、でも今思い返せば、その決断が今の日々につながっている。
だから後ろを振り返るのはやめて、前を向いて歩き出そう。


というわけで、6月中旬で今の会社は退職し、本物の(?)専業主夫になることになりました。
せっかくの機会なので、引き続き育児をばっちりと楽しんで、その様子を引き続き書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。